
- 2010年04月08日 (木) - 2010年05月23日 (日)
- 入場無料
- お問い合わせ: 東京日仏学院 (03-5206-2500)
ブノワ・デュピュイ 「今の天気 ・遊歩」
クロード・エステーブ 「内股の足」
エマニュエル・ギヨー 「闇の中へ」
K-Narf 「フォト落書き 、ビデオポートレイト」
フィリップ・ペルティエ 「物事の本性の中に」
ブルノ・カンケ 「2LDK」
エリック・レヒシュタイナー 「シニアークラブ」
ルシール・レイボーズ 「弁当」
フランク・ロビション 「シーフロント」
フロリアン・ルイズ 「新世界」
お決まりの、エキゾチックで観光地風な、いかにもという感じの、非現実的で歪められた日本のイメージはここにはありません。女性写真家1人を含む10人の写真家たちは、日本を彼らの第二の祖国とし、日本の内側から、日本の深層を捉えようとしています。
今回の写真展では前もって統一したテーマは決めず、一枚の写真とスライドショーで投影される一連の写真で、10人が自由に各自のテーマを表現します。それぞれの写真家が、独特のスタイルと感性、主観的なヴィジョンと各自の体験を重ね合わせ、独自の世界の独創的な物語を語ってくれます。
ドキュメンタリー、芸術写真、報道写真を通して、各写真家がそれぞれに、日本という国、彼らの見た日本、そして彼ら自身の日本を語ります。
男性と女性、都会らしさと田舎らしさ、満ちているものと空っぽのもの、外側と内側、存在と不在、夜と昼、若さと老い、単色と多色・・・これらを主題とした10作品からは、写真家たちの社会的な視線、美的、ユーモラスでメランコリック、そしてエロティックな視線が見て取れます。
1) ブノワ・デュピュイ « 今の天気・遊歩 »
(2009年8月、9月、10月)
墨田区界隈、特に荒川河岸と付近の神秘的な庭を遊歩する写真家が、主観的な視点で捉えた一連の風景。
プロフィール
1956年1月13日オセール生まれ。絵画を学び、1994年、初めての壁面絵画の仕事をアジアで得る。1996年、
香港に移住。1999年、同地において雑誌 « Tofu-magazine » を創刊。現在、東京在住。主に写真家として
活動している。
http://eden-olympia.blogspot.com/
2) クロード・エステーブ « ウチマタ »
この日本人の足に捧げるトリフォー的オマージュの起源は、京都のヴィラ九条山に招聘アーティストとして初めて滞在していた1994年に遡る。振付家スーザン・バージュのもとで踊るダンサーたちの写真を撮っていて、彼等の床との関わり方-歩き方、立ち方、畳の上での座り方が、我々のそれとあまりにも異なっていることに気づき、驚いたのだ。私は河原町をぶらぶらしながら、この非常に特殊な日本人女性の“脚の言語”の構文を、少しずつ探し当てていった。日本では200年来、内股-内側に向いた足-は、きわめて重要な女性的ポーズなのである。それは着物文化に結びついており、日本画様式の中で体系化され、理想化され、現在もなお、
マンガや渋谷ギャルの“可愛いルック”として息づいているのである。
プロフィール
国立東洋言語文化研究所(INALCO)で日本写真研究の博士号を取得後、現代視覚文化史研究所(LHIVIC) / 社会科学高等研究院(EHESS)の視覚文化史研究員となる。日本研究家であり写真家でもある彼の作品は、
誘惑について、“文化的な身体”について、そしてサブカルチャー神話の不変的要素について問いかける。
2000年、京都のヴィラ九条山招聘アーティスト。2007年にはフランス国立図書館のルイ・ロデレール奨学金を獲得している。著書に「Les Derniers samouraïs(最後の侍)」 (2001年、Marval出版)、
「Le Crépuscule des Geishas(芸者たちの黄昏) 」(2002年、Marval出版)がある。
homepage.mac.com/claude.estebe
3) エマニュエル・ギヨー « 闇の中へ »
« 闇の中へ » 、それは永遠に続く暗闇と静けさの中に身を沈めることである。
通りすぎる影、ある者はバーチャルな現実の中で道に迷う-十代の少年少女は虚ろな色彩の中を漂い、
他の者は数時間、あるいは幾夜かを過ごすために、一時しのぎの、つかの間の、薄暗い、
近代的で無機質な場所を住みかにする。
« 闇の中へ » は、東京の地下に潜む、室内の暗い今風のゲームセンターでもある
マンガ喫茶の一部を切り取った薄暗いヴィジョンの作品である。
プロフィール
若手美術作家による公募展、トーキョーワンダーウォール賞を受賞した最初の西洋人である彼は、
G/Pギャラリー(東京、2009年)、パーム・スプリングス美術館(2009年)、東京都現代美術館(2005年)、
スペイン、マドリードで開かれる国際写真フェスティバル、フォト・エスパーニャ(デスクブリミエント、2009年)、ヨコハマフォトフェスティバル2010など、数々の展覧会や映像展に参加している。
夜間の孤独な漂流で拾った現実の断片を、スライドショーやインスタレーションの形で複数のスクリーン上に映し出していく作品は、オランダのノーデルリヒト・フォトギャラリーや東京の在日フランス大使館旧庁舎の
« No man's land(ノーマンズランド) » 展(同庭園にて、2009 年)で公開された 。
2010年5月6日よりパリのスクールギャラリーで個展 « Until the sun rises(日が昇るまで) »
が開催される予定。
www.emmanuelguillaud.com
4) K-NARF « フォト落書き、ビデオポートレイト »
フランス系オーストラリア人アーティスト。
1970年サン-テティエンヌ(フランス)生まれ。パリで建築を学び、建築家として働いた後、
シドニーに移り住み、次第に写真に傾倒するようになる。2000年より東京在住。
作品を通して彼は、古くからの規範にとらわれることなく常に新しい写真表現の方法を探求する。
展覧会は、非常に短い期間インスタレーションの形で展示されることが多く、
ギャラリー、美術館に限らず、固定概念にとらわれない前衛的な場所でも開催されている。
10年前より独立放浪アーティストとして世界各国を旅して作品を発表し、
多くの芸術関係者の支持を得ている。
また彼は、ストリートアーティストのスタイルとテクニックに着想を得た
フォトグラフィティを、K-NARFという名で制作している。
スコッツデール現代美術館(アリゾナ州フェニックス)、シドニー博物館、
Japan Foundation for the Arts ギャラリー(シドニー)、在日フランス大使館、
アルル国際写真フェスティバルなどで作品を発表。
現在、東京のクリアギャラリー、及びパリのアガット・エリオンギャラリーで作品を公開中である。
www.knarfart.com et www.franklepetit.com
5) フィリップ・ペルティエ « 物事の本性の中に »
東京、夜の写真。都会から追放されていた人々の身体は、ついに小さな自然のオアシスを見つける。
そこは空間が枯渇した世界、すべての物、建築物が無造作に作られ置かれた世界。
夜の静寂の中、ビルがひしめく都会の人工的な光のもと、植物たちは自らの姿をそっとガラス窓に映してみる。あるいは植物たちは自らの正体を確かめているのだろうか・・・?
プロフィール
1959年ボルドー生まれ。1984年より東京在住。
1981年-1983年、フランスのボルドーで写真を学ぶ。
1983年-1992年、アジア、オセアニアを旅して歩く。東京日仏学院での
« Impressions transsibériennes(シベリア横断の印象) » など個展多数。
1993年、パリのフランス国立美術館連合(RMN)でフォトアシスタントとして働く。
1994 年-2010年、フリーの写真家として活躍。
写真展:
1999年、東京のpart 1スタジオエビスギャラリーにて個展 « Drapés de l'œil (目の襞) »
2001年、東京のギャラリーJy(ギャラリージー)にて個展 « Le Corps de l'œil(目の身体) »
2002年、東京のギャラリーJyにて共同展 « Auto portraits(オートポートレート) »
http://www.philippepelletier.com/
6) ブルノ・カンケ « 2LDK-私的空間、夢的空間 »
2LDK (2 部屋+リビング・ダイニング・キッチン)とはアパートの部屋数を示す日本の暗号コードである。日本では外部からの視線を避けるため、プライベート空間の窓には不透明ガラスや模様ガラスがよく使われる。
匿名空間と化した部屋のガラス窓には印象派絵画さながらのポートレートが映し出される。
作品はこのような匿名空間の窓の写真を私の個人的空間へ持ち込む、という構成になっている。こうした(劇中劇のような)入れ子構造的演出は、バーチャルハイブリッド的な空間を生み出し、私のアパートを展示空間へと
変えていくのである。
プロフィール
私はサウンドエンジニアとしてキャリアを積んだ後、人生半ばを過ぎてから日本で写真を始めた。日々、東京という都市を精力的に探求していく中で、それぞれのプロジェクトに明確なコンセプトやテーマを与えて特殊な主体性、自分のスタイルを持たせるようにしたいと思っている。全体としては、都市という暗号を解読していく作業のように見えるかもしれない。特に“2LDK”と “Salaryman Project(サラリーマン計画)”は、
写真とプライベート空間の相互関係をテーマにしている。
7) エリック・レヒシュタイナー « シニアークラブ »
東京の老人クラブ。
第1部 スポーツ:65歳以上の人々によるペタンク、輪投げ、ヨガなどその他のスポーツの風景。
プロフィール
東京を拠点に活動するドキュメンタリー写真家。
写道・写真家集団 Sha-do Collectiveの共同設立者でもある。
2010年9月に、作家フレデリック・メリーのテキストによる
« De verdiers de cerises de neige(雪のサクランボの上の鳥) » を
ジュネーヴのSlatkine出版より刊行予定。
www.ericrechsteiner.com
8) ルシール・レイボーズ « 弁当 »
“弁当”とは試食への誘いである。自然への賛美と、素材-植物素材と鉱物素材への称賛がこの弁当の中に表現されている。複数の写真を組み合わせ、いくつもの味わいを並べた食事の箱である弁当のような作品である。各々の弁当の中でルシールは、石、動物、身体のディテール、植物といった異なる世界の断片を対比させている。その結果、これらの素材のクローズアップ写真からいくつもの異なる感覚を“味わう”ことができるのだ。
プロフィール
幼少時代を西アフリカのマリとセネガルで過ごしたルシール・レイボーズは、父に手ほどきを受けて写真家となった。作品集として、トーゴのタンベルマ族をテーマにした « Batammaba, bâtisseurs d’univers(バタンマバ、宇宙の創始者) » 、日本の温泉風景のシリーズである « Source(泉) » (ラ・マルティニエール出版)の
2冊が出版されている。2008年、日本での創作活動を一つにまとめた写真展 « クロニック・ジャポネーズ » が、パリ・フォト(国際写真フェア)の一環としてパリのHSBC社で、2009年には東京日仏学院において開催された。ルシール・レイボーズは現在、日本、フランスそしてアフリカを拠点に活動を続けている。
www.lucillereyboz.com
9) フランク・ロビション « シーフロント »
日本列島とその3900の島々は南北3000Kmに広がっている。その海岸線の長さはフランス本土の5500Kmに対し、35000Kmに及ぶ。かつてこの海岸の風景に魅せられた芸術家たちによる、かの有名な浮世絵版画を
思い浮かべてやって来る観光客は、コンクリートのブロックが積み上げられ、美しかったかつての面影なく
変わり果ててしまった海岸が多いのに驚くであろう。
日本は常に地震と津波の脅威にさらされている。政府は60年代よりこの自然の脅威に対し、
海岸線沿いにバリケードを作ることで被害を食い止めようとしている。
50%以上の海岸がこうしたコンクリートの防御壁により本来の美しさを失っている。
プロフィール
独学で写真を学ぶ。パリの国立東洋言語文化研究所で日本言語文化を専攻して卒業。1990年より日本在住。
ニュヨーク・タイムズ、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン、ニューズウィーク、ル・モンド、
ジェオなどの新聞、雑誌社で仕事をした後、現在はepa通信の写真家として活躍している。
2009年、北京オリンピックの三段跳び競技を撮った作品で、世界報道写真コンテストのスポーツ部門賞を
受賞した。
www.franckrobichon.com
10) フロリアン・ルイズ « 新世界 »
Shisekaiは大阪、浪速区界隈に広がる街である。1912年に創られ « 新世界 »と呼ばれた。90年代の景気後退と共に多くの失業者たちがこの新世界周辺に集まるようになり、以来、彼等は日本で最大の日雇い労働者コミュニティの中で社会から疎外され、閉ざされた世界の中で生活している。この地域には、暴力、アルコール中毒、違法賭博、ポルノ映画、路頭に迷った人々を改宗させようとする韓国の教会などが集中し、犯罪を象徴する地区とされている。私がこの一連の写真を通して見せたかったのは、スラム街、歓楽街、賭博街が“三位一体”となったこの « 新世界 » の中で、償いを求めてさまよう人々の姿である。
プロフィール
フロリアン・ルイズの写真作品は、汚点と幻滅という文字が刻まれた失望社会をテーマとしている。
インドとバングラデッシュでのタンカー船解体作業の現場を捉えた作品が、2004年シリアのアレッポで、
2007年にはフランスのヴァンドームで公開された。
近年ではパキスタンでの売春をテーマにした作品 « Dream Hotel(ドリーム・ホテル) » をオンフルールのフェスティバル、クロニック・ノマッド、及びカンボジアのアンコール国際写真フェスティバルで発表した。
また中国をテーマに、その多民族性ゆえに存在自体があたかも複数の国境検問所であるかのような
この国の都市を通して、国民のアイデンティティー、統一性と多様性を問う作品の制作を始めている。
http://picasaweb.google.com/florianruiz9

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